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不育症・着床障害

妊娠した喜びのあとに赤ちゃんを失う経験は大変悲しいものです。しかし、不育症・着床障害の検査や治療が希望となるかもしれません。
ここで立ち止まらず、いつか赤ちゃんを抱く日に向けて私たちとともに前を向きましょう。
あなたとともに歩むHORACの医師・看護師・心理カウンセラーが、あなたの身体や気持ちを支えることができるはずです。

不育症・着床障害

不育症とは、妊娠はしても流産や早産を繰り返す状態のことで、原因不明の死産を引き起こすこともあります。
また、不育症体質が強くなると、胚が着床時期にすでに母体から拒絶され、妊娠に至りません。これを着床障害と呼びます。

不育症着床障害の原因

胎児に原因がある場合

流産は決してまれなことではありません。一般的に流産は妊娠あたり15-20%の頻度でおこるといわれていますが、女性の年齢が高くなると頻度が上がり、40歳以上では半数くらいの方が経験するとも言われます。そのほとんどは、卵子の老化に起因する染色体の数的異常が原因です。子宮内や出生後生存することが難しい胚が自然淘汰されることがこのタイプの流産です。
流産時の絨毛や胎盤組織の染色体を調べることで診断をすることができます。
また、まれなことですが、夫婦のいずれかが染色体異常をもつ場合にも流産を繰り返すことがあります。

原因不明の不育症・着床障害

一般的な不育症・着床障害の検査で問題がなくても、HORACでの精密検査によってはじめて原因が分かることもあり、それに対する治療が可能です。

  1. 夫婦の免疫のアンバランス
  2. 子宮内膜の炎症
  3. 子宮内膜細胞の遺伝子発現がずれている
  4. 自己攻撃力が高い
  5. 生活習慣の乱れや心理的要因

検査・治療

1. 子宮の形の異常

生まれつきのものとして、双角子宮、中隔子宮、単角子宮などがあります。それ以外のものとして、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮腔癒着症などがあります。子宮異常があると胎児の発育環境が悪くなるかもしれません。

2. ホルモンの異常

黄体機能不全、高プロラクチン血症、甲状腺機能異常、糖尿病などがあります。着床の維持や、赤ちゃんの発育のために大切なホルモンです。

3. 血液の固まりやすさの異常

抗リン脂質抗体症候群や血液凝固因子、血小板などの異常があると胎盤や母体の血管内に血栓ができやすいと言われています。このような場合、血液を流れやすくする治療が必要となります。当院では血小板凝集能の測定も可能です。

4. 母体免疫の異常

母体が抗核抗体や抗リン脂質抗体などを持ち、自分の細胞を攻撃するような状態であると、受精卵や赤ちゃんに対しても同じように攻撃する免疫が働く場合があります。

5. 夫婦の免疫のアンバランス

受精卵や赤ちゃんは母親と似ていますが、別の遺伝子・タンパク質を持っています。母親にとっては異物になるので、妊娠を維持するためには、母体の免疫で守られるようなシステムが必要です。これが崩れた状態が同種免疫異常による流産です。

6. 子宮内膜の炎症

着床期の子宮内膜に慢性炎症が存在することで、着床異常や流産が起こりやすくなることが最近報告されました。炎症がある場合は抗生剤をのんで治療をします。

7. 子宮内膜細胞の遺伝子発現がずれている

受精卵が子宮に着床して発育するためには、受精卵の日齢に合わせて子宮内膜細胞の遺伝子がタイミングよく発現し働かなければいけません。胚移植がなかなかうまくいかない場合には、胚移植周期のシミュレーションをしながらこの「着床の窓」検査をするとずれが見つかるかもしれません。

8. 自己攻撃力が高い

もともとヒトの身体には、外から入ってくる細菌・ウイルスや有害物質から自分を守るキラーリンパ球や活性酸素などのシステムが備わっていますが、これが強くなりすぎると自分自身や受精卵も攻撃されてしまいます。

9. 生活習慣の乱れや心理的要因

現代社会を生きていく私たちは常に様々なストレスを受けています。ましてや不妊や流産の問題を抱える方はなおさらでしょう。また、喫煙や運動不足、乱れた食生活や睡眠リズムは身体の自然治癒力や妊孕力を低下させます。統合医療を取り入れて改善するのがベストです。