他の施設で体外受精・顕微授精を実施したにも関わらず、今までの方法で妊娠に成功しない場合、その原因に応じて次のようなプログラムを実施して、成功に導くようにしております。これは、初診の場合「医師との作戦会議」のなかで相談されます。全てのデータを分析して採用されるIVF JAPAN独自の救済プログラムで、患者様ひとりひとりのケースに応じて組み立てられます。
卵子が成長しない、採卵数が少ない方のためのプログラムです。
胚の分割が遅い、胚盤胞にならない、胚にフラグメントという細胞のくずが増えて胚の質が悪い方のためのプログラムです。
ラエンネック(カプセル、注射)は、もともと肝機能改善に使用されているお薬です。しかし、その作用として細胞のミトコンドリアの活性化による組織呼吸の促進、血流改善、新陳代謝の活発化作用があるため、当院ではその優れた作用に注目して、卵の質の改善、子宮内膜の増殖効果及び着床率向上を期待して使用しています。
体内の細胞の外部から供給されるエネルギーには、タンパク質・糖・脂肪などの栄養素がありますが、実際に細胞内でエネルギー代謝に関わる仕事をしている部品がこのATPです。ラエンネックと同様に、組織呼吸の促進、血流改善、新陳代謝の活発化が期待できるため、卵の質の改善、受精卵の細胞分裂のサポート、卵巣機能の改善を目的として使用しています。
良好胚ができるのに、なかなか着床しない方のためのプログラムです。
子宮収縮による子宮内虚血に注目し胚移植時に子宮収縮抑制剤を用いる方法で 子宮内循環の改善を図り着床率の向上に成果を上げています。一日二~四回使うと直接吸収され子宮内膜の血流が改善し、 内膜が厚くなると言われています。
男性ホルモンのテストステロンは、男性の生殖機能維持や男らしい身体つきを作るために必要ですが、女性にとっても卵巣機能の調節に重要であることが最近の研究で明らかになってきました。実際女性でも血中テストステロン濃度は年齢の上昇とともに低下し、特に卵巣機能が低下した場合には感度以下になることも知られています。このような方にテストステロン軟膏を投与することにより、発育卵胞数が増加し、体外受精の妊娠率・生産率が上昇した、という結果が得られています。
高年齢で体外受精治療中の方、AMHの値が非常に低い方、採卵してもなかなか卵子が得られない方などが、テストステロン補充療法の適応となります。
無精子症の方で精子を作る能力が残っている場合、精巣上体や精巣から直接精子を抜き出して 顕微授精を行い多くの妊娠を得ています。
通常の胚移植法の他に直接子宮筋を通して行う胚移植法を行っています。 この方法により従来の胚移植法で妊娠しなかった方の妊娠が可能となります。
着床障害、特に透明帯通過障害の方の治療に用い、透明帯の約4分の1を薄くカットし孵化を容易にする方法です。当院では赤外線のレーザー光線を用いて透明帯を薄くするため、安全かつ信頼性の高い方法で施行できます。
メトフォルミンは、インスリン抵抗性が高血糖の原因と考えられる糖尿病の治療薬です。PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)では、卵巣内のアンドロゲン(男性ホルモン)濃度が上昇し、 これによって排卵障害、OHSS、卵の質の低下を招きます。すでに国内外ではメトフォルミンがPCOSの患者様に広く用いられ、良好な改善結果が得られていることが明らかとなっています。
純度が非常に高く(99%以上の純度)、製造番号ごとの純度のバラツキもありません。純度と品質の点で優れている、少ない総投与量で効果が得られる、皮下投与が可能、採卵数・卵子の質・移植可能胚数が増加する点で優れているとされているため、現在では国内外で広く用いられています。
体外受精においては、卵子をできるだけたくさん取り出すために、性腺刺激ホルモンを月経周期がはじまる頃から毎日注射し、一度にたくさんの卵胞(卵胞内で卵子が発育します)を育てます。たくさんの卵胞が発育すると脳下垂体と呼ばれるところから「排卵して下さい!」という命令を出すLH(黄体化ホルモン)が分泌され、排卵が引き起こってしまいます。卵子を取り出す前に排卵してしまっては、卵子が得られません。この「排卵して下さい!」という脳下垂体の命令を抑制する(黄体化ホルモンを抑える)のがこの薬の作用です。さらに、卵胞の発育を促すFSHというホルモンも抑えますので、卵胞刺激の注射のみで卵胞発育を調節することが出来ます。
「スプレキュアやブセレキュアのような鼻から噴霧する薬とはまた違うの?」と思われた方もおられると思います。アンタゴニストが開発されるまでは、アゴニストと呼ばれるスプレキュアなどの点鼻薬を用い、排卵が引き起こるのを抑制していました。しかし、この点鼻薬は卵子を取り出す前の月経周期の黄体期中期から、卵子を取り出すまで毎日数回(当クリニックでは1日4回)鼻に噴霧しなければならず、非常に面倒でした。ところが、このアンタゴニストは投与期間が短く(5日間前後)、しかも1日1回の注射のみで済みます。
スプレキュアやブセレキュアなどと比較し、ほてったりのぼせたりする症状も起こることがありません。さらに卵胞刺激に用いる注射の量も、スプレキュアなどの場合よりも少量で済むことも分かっており、経済的なメリットもあります。さらに、卵の発育に悪影響を及ぼすLH(黄体化ホルモン)を抑制するため、スプレキュア等に比べ質の良い卵が発育する可能性が高くなると期待されています。
スプレキュアと比較を行った結果、採卵数や良好胚獲得率、着床率、妊娠率、流産率に統計学的な有意差は見られなかったという多数の報告がされています。安全性については、注射の投与部位に多少の痛みやかゆみ、赤く腫れ上がる症状が認められる症例もありましたが、これらの症状はいずれも軽く、処置することなしに1日以内でほとんどの場合回復しています。